皇學館大学院の評判・口コミ【神道学専攻科編】

皇學館大学院の特徴

日本の大部分の神社を管轄する神社本庁に所属の神社に奉職し、神職として奉務する際には、神職資格が必要とされています。神社本庁に所属しない単立の神社においては、各神社独自の階位システムが構築されている場合もあり、必ずしも資格を必要としない場合もあります。しかし、これら単立の多くの神社でも、神職資格を重視する所は多く、神職としての基礎、ふるまい、知識の習得が要求されるところがほとんどです。養成機関はいくつか挙げられますが、日本の大学で神職資格が得られるのは、皇學館大学と國學院大學の二つのみで、神社の子弟や神職を目指す学生らが集う、特殊な大学の一つとして非常に特徴的です。

満足していること：授業

授業は、特に神職資格を得るために特化されたカリキュラムとなっています。一般の大学の既卒者が対象者となっているため、一般教養科目や体育等の授業は省かれ、神社本庁が指定している神職資格を得るための授業のみを取り上げています。特に取得階位に応じ、教師の教育実習にあたる、神務実習と呼ばれる実践的な実習も科目の一つとなっています。この実習では、実際に神社に数日から1週間程度務めることで、神社における基礎的な業務を覚え、また自身の適性を図ることを目的としています。座学のみのカリキュラムではなく、実際に実習を通じ、参拝者や現役の神職と触れ合うことができたのは、貴重な経験となりました。

満足していること②：キャンパスの立地

神職資格を得られる大学機関は、日本では、皇學館大学と國學院大學のみですが、皇學館大学の強みは、何よりも神宮に近い立地にあります。いわゆる伊勢神宮は、日本の神社の総本山、本宗とも呼ばれ、神社界の頂点とも言えます。また周囲には、神宮のみならず、倭姫宮、月読宮、猿田彦神社を始め、著名な神社が乱立しているだけでなく、伊勢の街そのものが、神宮のおかげ参りで盛り上げられてこられた神社と縁のある土地です。そして少し足を伸ばし、松阪市に行けば、本居宣長記念館や、近辺には斎宮博物館とその跡地など、神社や国史を学ぶ学生には垂涎の土地柄に大学はあります。

不満に感じていること：学生の質

講師や大学職員の意識は高いのですが、学生らの意識は必ずしもそうではありませんでした。特に、実家が神社なので、仕方なく跡継ぎのために資格を取得する目的で通学されている学生は、研究意欲や目的意識が希薄に思われる人も少なからずおりました。20代始めで、親の都合で無理やり神職を目指さざるを得なくなった学生や、祖父に泣きつかれて大学に来ているケース、一般企業には向かないことを自認しているため、なんとなく神職を目指す者など、必ずしも、使命感を帯びて神社界を目指している者ばかりではありませんでした。

不満に感じていること②：進路・就職

大学で神職資格を得た学生は、神社に奉職（一般企業の就職）する者がほとんどです。いわゆる就職斡旋のように、大学の課から、めぼしい神社の情報が出回ってきます。しかし、大学側も日本全国の神社の情報を把握しているわけではなく、同時に、神社側も大手を除き、求人を公に行っていないところも多いのが実情です。実際には人手不足の神社も多いのですが、求人を積極的に行っていないか、行わないところも少なくありません。中小規模の神社は、専任で生活費を稼ぐことも難しい場合が多く、それらの神社の情報は大学側には回ってこないのが現況です。

皇學館大学院のおすすめ学部：国史学科

皇學館大学は、神道や神社界、教育界に特に強いと思われています。実際に、神社界や教育界に進路を決める学生も多いのですが、この大学の国史学科は、他大に追随を許さないほどレベルが高く、私も将来、もし許されるなら、国史学を改めて学びたいと考えています。図書館や研究室にも、国史に関する教科書や書籍は多く、国史を本格的に学びたい方には、おすすめの学部であると推薦します。

皇學館大学院に通って良かった？

日本国内の学術機関では、二つしか存在しない大学で、また神道学という特殊分野を心置きなく学べたことは、人生の糧ともなる貴重な経験でした。また、希望通り、神職として神社界でも活躍する場を紹介いただくことができ、これからの人生が開けた思いでいます。休日や夏休みには、伊勢市とその周辺にまで足を伸ばし、実際に訪れてみたかった神社や遺跡、史跡をめぐることもでき、神道学を目指す学生には垂涎の環境で、十二分に学問に励むことができました。